仕事を辞めようと思った時に気になるのは、次の仕事のこととお金のことではないでしょうか。
すぐに仕事が見つかれば良いですが、見つからない可能性もありますし、少し休みたいと思っている人もいると思います。
どちらにしてもお金の心配をしながら生活をするのは嫌ですよね。
そこで頭に浮かぶのは“退職金”です。
看護師も退職金をもらえるのか、誰でももらえるのか、もらうために手続きは必要なのか、多くの疑問があると思います。
気になる看護師の退職金事情をご紹介しますね。
目次
看護師の一般的な退職金とは?
退職金とは、大きく3つにわけることができます。
退職一時金制度
退職する時に支払われるものです。
定年退職だけではなく、自己都合での退職や会社都合の退職の場合も支払われます。
企業年金制度
退職時ではなく、後に年金として支払われるものです。
退職一時金と併用している企業もあります。
前払い制度
退職時ではなく、決まった金額を月々のお給料や賞与に上乗せして支払われるものです。
私たちが一般的に言っている退職金は、退職一時金を指していることが多いですね。
どの制度を使っているかは、その企業により違いがありますので、自分が働いている病院や施設の退職金制度がどうなっているかを調べて置くと良いですよ。
看護師が退職金をもらう条件
退職金はどの業種でももらえる可能性があり、看護師も例外ではありません。
ただし、退職金は法律で定められているものではありませんので、退職金制度を導入していない企業もあるのです。
退職金制度がある企業の割合
厚生労働省では5年毎に退職金の調査を行っていますが、2013年の調査によると退職金制度がある企業は75.5%です。
この数字からもすべての企業で制度があるわけではないということがわかると思います。
規模による違いもあり、従業員数1,000人を超える企業では93.6%、300~900人では89.4%、100~299人では82.0%、30~99人では72.0%になっており、規模が大きいと退職金制度を導入している割合が高まります。
この数字は各業種全体の数字ですが、医療福祉業界で退職金制度がある割合は、50.1%です。
半数の病院や施設などでは退職金制度がない結果になっています。
この結果はどの業種の中でも一番低い割合になっており、医療福祉業界で働く人は退職金がもらえない人が多いのです。
看護師が退職金をもらうために
まずは自分が働いている病院や施設で、退職金制度があるか調べましょう。
これは就業規則に書かれていますので、簡単に調べられると思います。
書かれていなければ、制度自体がないことになりますので、退職金をもらうことは絶望的かもしれません。
ですが、明記されていないだけで最後のお給料に少し上乗せされている場合もありますので、先に辞めた人がいる時は聞いてみると良いですよ。
退職金は定年退職だけではなく、中途退職でももらえることもあります。
その際は、条件がついている可能性がありますので、その条件を満たさなければ支払われないことになります。
勤続年数が条件になっていることが多く、3年から5年くらい働いていると支払われるケースが多いですね。
退職金がもらえるかどうかは、退職金制度があるか、支払条件を満たしているか、この2点がカギになります。
転職する際は、退職金制度があるかチェックするようにしてくださいね。
退職金制度がある病院とない病院の特徴
転職時に退職金のことを質問するのは、ちょっと抵抗がありますよね。
すぐに辞めるつもりなのかと思われて採用されない可能性もあります。
退職金がもらえる病院か、もらえない病院か、外からみてわかりやすい特徴をまとめてみましょう。
退職金がもらえる病院
- 大学病院
- 公立病院
- 職員数が多い病院
特に大学病院と公立の病院は、国家公務員や地方公務員の退職金の計算方法を採用しているところも多く、一般企業の計算よりも高くなります。
この他にも、手当などの賃金体制がしっかりとしているところは、退職金制度があるところが多いですし、グループ経営をしている病院や介護施設なども退職金がある倍が多いですよ。
退職金がない病院
- 小規模なクリニック
- 基本給が高すぎる病院
- いつも求人が出ている病院
個人経営で外来だけというようなクリニックは、退職金がないところが多いですね。
規模の割に基本給が高い病院も要注意です。退職金がない代わりにお給料を高めに設定している可能性があります。
そして求人がしょっちゅう出ているところは、労働環境があまり良くなかったり、福利厚生が整っていない可能性がありますので、退職金は期待できないかもしれません。
個人病院でも、外来の他にデイケアや訪問看護ステーションなど複数の部門があるようなところは、退職金制度がある場合もありますので、確認してみると良いですよ。
看護師の退職金相場
実際に退職金がどのくらい支払われるのかも気になりますよね。
退職金は自分でも計算できますので、今辞めたらどのくらいもらえるのか計算してみましょう。
退職金の計算方法
退職金の計算方法は4つあります。
- 基本給×勤続年数
- 固定金×勤続年数
- 基本給×勤続年数×功績倍率
- 勤続年数による規定
固定金や功績率は、病院により違いがあります。
4つめの勤続年数による規定も、5年まではいくら、6年から10年はいくら、11年から15年まではいくらというように、病院独自で決めた規則に乗っ取った金額になります。
働いている病院がどの方法を採用しているかがわかると、大まかな退職金額を算出することが可能です。
ぞれぞれの方法で具体的に計算をしてみますね。
モデル金額は次の通りにします。
基本給 | 23万円 |
---|---|
勤続年数 | 5年 |
固定金 | 10万円 |
功績倍率 | 1.2 |
◎基本給×勤続年数
23万円×5年=115万円
◎固定金×勤続年数
10万円×5年=50万円
◎基本給×勤続年数×功績倍率
23万円×5年×1.2=138万円
3つめの方法が、一番退職金額が高くなるのがわかりますよね。
そして、退職金のベースは基本給が大きく関わっており、基本給が高いところは退職金も高くなっていきますし、長く働いて基本給が上がれば退職金も上がっていきます。
退職金の落とし穴
退職金は法律で決められているものではなく、病院に任されている部分になりますので規定は様々です。
定年退職のみしか支払われないところもありますし、中途退職の場合は上記の計算式に“給付率”をかけているところもあります。
定年を待たずに退職をした場合(自己都合)に適応されるもので、給付率は病院により違いがありますが、60%や70%などと規定されています。
就業規定にここまで細かなことが書いてあるかわかりませんので、計算をした金額よりも少なかったとがっかりしないようにしてくださいね。
退職すると失業保険ももらえる得る可能性あり
退職してもらえるお金は退職金ばかりではありません。
失業保険ももらえますので、ぜひチェックしておきましょう。
失業保険の支払いには条件があり、自己都合で退職する場合3ヶ月間は支払われませんので、ご注意くださいね。
失業保険受給の条件
- 離職日の前の2年間に12ヶ月以上雇用保険の加入期間がある
- 労働する意欲がある
- 求職活動をしている
この3つの条件がなければなりません。
特に雇用保険の加入は絶対条件で、働いていれば必ず加入しているはずですが、念のために雇用保険料が天引きされているか、給料明細で確認してくださいね。
労働する意欲や求職活動も必要で、定期的にハローワークに行って求職に関する相談などをしなくてはいけません。
ケガや病気で長期間働けないことが明確な場合は、受給されない可能性がありますので、離職した時にハローワークで確認してください。
申請に必要な書類
- 雇用保険被保険者離職票(1)
- 雇用保険被保険者離職票(2)
- 印鑑
- 写真2枚(3cm×2.5cm)
- 普通預金通帳
- マイナンバー
- 本人確認証明書
雇用保険被保険者離職票は退職後に1週間から10日くらいで病院から届きます。
給付手続き
- 必要書類を持ってハローワークに行く
- ハローワークにある“求職申請書”に必要事項を記入し、持参した書類と一緒に窓口に提出する
- 書類提出後1~3週間後に雇用保険受給者初回説明会に参加する
- 4週間に1度ハローワークで面談を行い、必要書類を書く
- で失業認定されれば、7日後くらいに給付金が振り込まれる
その後も④と⑤が繰り返されることになります。
申請手続きは離職票が届いたらすぐに行くようにしてくださいね。
給付期間と給付額
給付期間は勤続年数と本人の年齢により違いがあります。
年齢/被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳~64歳 | 90日 | 180日 | 180日 | 210日 | 240日 |
給付金額は退職する前までの6ヶ月のお給料を元に算出されます。
基本給ではなく、賞与を除き、夜勤手当や時間外手当、通勤手当などを含む金額です。
具体的な給付金額を出すのは、細かく分類された給付率を調べて行わなければなりませんので、申請時にハローワークで確認してみてください。
退職金がなくなる日も近い
一生懸命働いても辞める時に退職金がないと、やはり少しさみしい気持ちになりますよね。
退職金は働いたら必ずもらえるものではなく、法律でも保証されているものでもありませんので、金額が少なくても支払われるだけ良しと思わなければならないのかもしれません。
退職金を支払う企業は実は年々減ってきています。
2000年に退職金制度がある企業が89.3%ありましたが、2008年には83.4%になり、2016年には69.8%にまで減ったというデータもあります。
このことから医療福祉業界も今よりも退職金が支払われない病院や施設が増える可能性があります。
退職金を当てにできない日が来るかもしれませんが、退職金制度がある病院を上手に見つけていきましょう。
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