看護師はお給料が良いと言われている職業です。
しかし、現役看護師からは決して高いという言葉は聞かれません。
むしろ給料が安いという人が多いですね。
これは労働量に対して対価が低いという意味になるのですが、実際の仕事を考えるとそう思うのも仕方がないかもしれませんね。
より良い環境を求めて看護師は転職をしますが、その環境の中にはお給料も含まれています。
年収アップを目指して転職をする時、どのようなところに注目をして進めると良いのか、ポイントを解説していきます。
目次
看護師の年収の実態
看護師の年収は、厚生労働省発表のデータによると次のような結果になります。
職員数/経験年数 | 新卒 | 1年以上 | 5年以上 | 10年以上 | 15年以上 |
---|---|---|---|---|---|
99名以下 | 210万円 | 284万円 | 396万円 | 418万円 | 536万円 |
100~999名 | 253万円 | 323万円 | 358万円 | 388万円 | 429万円 |
1000名以上 | 331万円 | 398万円 | 465万円 | 492万円 | 583万円 |
職員数が多いところは、規模が大きい病院で、少ないところは規模が小さい病院です。
規模が大きい病院の方が小さな病院よりも年収はやはり高くなっていますね。
それ以外にも規模に関係なく、5年目と15年目が収入アップの幅が大きくなっていることがわかります。
この数字には賞与(ボーナス)が含まれていますが、夜勤手当や時間外手当、通勤手当などの諸手当は入っていないため、実際はこの金額よりも数十万円高くなると予想されます。
夜勤をして、お盆もお正月も大型連休も関係なく仕事をしてこの金額です。休みの日も勉強や会議などで拘束されることもあります。
高いと感じるか、それとも少ないと感じるか。
大学を卒業した新社会人のうち、販売員や接客業の年収が210万円~220万円ですから夜勤をしなければそれほど変わらない金額となります。
このことからも、看護師の年収は決して高くはないと感じた人も多いのではないかと思います。
現役看護師が、お給料が低いというのも頷けますよね。
看護師で年収をアップする方法
看護師の仕事は大変なことは十分ご承知だと思います。
ですから少しでもお給料が上がればうれしいですし、モチベーションにもつながりますよね。
看護師は能力給ではないため、年収を上げるのは無理では?と思われるかもしれませんが、それほど困難ではありません。
年収を上げるには次の3つの方法があります。
夜勤を増やす
3交代制で1回夜勤をすると8,000円~15,000くらいの収入になります。
当直制の場合はもう少し高く、18,000円以上の金額に設定されているところが多いですね。
病院によっては、年末年始や大型連休などに勤務をした人には、割増料金を出しているところもあります。
夜勤回数は労働基準法において明確な規定はなく、1日8時間、週40時間の範囲で行うということになっています。
看護協会では3交代制で月8回が望ましいとしていますが、現状は9~10回くらいのところもあります。
同じ夜勤回数でも、準夜勤よりは深夜勤の方が夜勤手当は高くなりますので、深夜勤を多めに希望するというのも方法のひとつですね。
働く日や夜勤の種類を上手く組み合わせると、今よりも年収がアップする可能性があります。
資格を取得する
キャリアアップをして年収をアップする方法もあります。
「資格手当」をつけるということです。
看護師は「看護師」という資格に対して手当が出ます。
それ以外にも、専門看護師や認定看護師の資格があると、資格手当がつく病院があります。
自分のキャリアアップにもなりますので、取得できる経験年数になっていたら考えてみると良いかもしれませんね。
資格手当がつかない場合でも、基本給を上げてもらえることも考えられます。
専門看護師も認定看護師も資格取得までには、かなりの時間がかかりますので大変かもしれませんが、長い目で見ると取っておいて損はないですよ。
看護短大や看護専門学校卒業の看護師であれば、大学に行って大卒資格(学士)を取る方法もあります。
短大や専門学校卒業よりも、大卒の看護師は基本給が高いですし、専門看護師や認定看護師の資格も取りやすくなります。
働きながら大学に通えますし、通信で学ぶことも可能ですのでチャレンジしやすいのではないでしょうか。
働き方を変える
看護師の働き方は様々あります。
ほとんどの人は日勤のみか、日勤と夜勤を組み合わせて働いていると思いますが、夜勤専従という働き方もあります。
夜勤専従の場合、文字通り夜勤しかしませんので、日勤と夜勤を組み合わせる働き方よりも、働く日数が少なくなります。
にも関わらず、年収が上がるので人気の働き方ですが、年齢が上がると辛いと感じる人も多いですから、体力のある年代に限定されてしまうかもしれませんね。
転職をする
年収をアップさせるには転職も良い方法です。
他の職業ですと、転職をするとそれまでのキャリアが反映されなくなることも多く、年収が下がることが考えられます。
しかし、看護師は経験がそのまま引き継がれますので、上手に転職をすると年収を上げることが可能です。
年収アップを狙った転職については次の章で詳しくご紹介しますね。
看護師へ転職するなら?必要な資格・仕事内容・年収事情!おすすめ転職サイト
年収をアップさせる転職先の選び方
転職で年収アップをするには5つのポイントがあります。
そこに注目をして転職先を見つけることができると、大幅な年収アップも夢ではありません。
病院の特性に注目
年収の実態でも書きましたが、規模の大きな病院は年収高いと言えます。
大学病院や救急指定病院など、病床数が多い病院がおススメです。
また、透析を専門に行っている病院も実はお給料が良いのをご存知ですか?
夜勤はないため年収は低いと思われがちですが、危険手当が付くため他の診療科よりも高いのです。
透析専門の病院以外にも、専門的な分野に特化した病院や、病床数がそれほど多くなくても、最先端医療を提供しているような病院はお給料が高く設定されているところが多いですから、規模だけではなく病院の特性も考慮しましょう。
夜勤に注目
最近では大きな病院でも3交代ではなく2交代や当直制を取っているところもあります。
夜勤の回数が多いところは当然お給料が高くなりますので、当然年収アップになります。
夜勤手当は病院により差がありますので、チェックポイントになります。
表向きの夜勤回数と、実際の回数が違う場合もありますので、できれば働いている看護師から話を聞けると良いですね。
手当の充実度に注目
看護師がもらえる手当には、夜勤手当、役職手当、資格手当、時間外手当、通勤手当、住居手当、家族手当、休日出勤手当、危険手当などがあります。
これらは必須ではなく、病院ごとに支払う手当に違いがありますので、自分がもらえる手当はどれで、どのくらいもらえるのかはチェックしておくと良いですよ。
この中では特に時間外手当は要チェックです。
看護師はサービス残業が当たり前になっているところも多くあります。
きちんと支払われているのかをリサーチしておかないと、働いているのにお給料に反映されないということになってしまいますよ。
基本給に注目
年収が高いところは基本給が高いところと言えます。
年間の賞与が基本給の5カ月分と規定されているとします。
基本給が20万円の場合の賞与額は、100万円になります。
基本給が23万円の場合の賞与額は、115万円です。
年間15万円の差は大きいですよね。
基本給は賞与だけではなく、退職金などの元にもなりますので、基本給が高いところは一番おススメの転職先になります。
医療機関以外に注目
看護師の職場は病院を始めとする医療機関というイメージが強いと思いますが、それ以外にも働く場所はあります。
企業看護師がそのひとつです。
企業の医務室勤務や保険会社等で顧客を対象にした健康に関する電話相談窓口の仕事などがこれに当たります。
企業看護師を置いている企業は大手のところばかりですので、基本給がまず高いですね。
顧客対象の電話健康相談窓口などは、夜間の問い合わせにも対応していることが多く、夜間手当などがつくこともあります。
転職の時は病院や施設などに目が行きがちですが、それ以外の求人も探してみると意外と掘り出し物が見つかるかもしれませんよ。
年収アップを狙う転職時期
転職したいと考えても、時期は悩みますよね。
何年目で転職をするのが年収アップには最適なのでしょうか。
5年が最初の目途になります。
ちょうど年収が大幅にアップする時期ですから、今の職場よりも基本給が高いところへ転職をすると自然と年収が上がります。
さらに5年の臨床経験があると、専門看護師や認定看護師の資格取得が可能になります。
その資格を取ることを前提に採用してくれる病院に行くと、資格取得後は手当がついたり、基本給が上がる可能性がありますので、こちらも年収アップにつながります。
転職に向かない時期もありますので、覚えておくようにしてくださいね。
それは、結婚や出産を考えている時です。
転職をしてすぐに結婚や出産となった時に、周りに迷惑をかけてしまうということだけではなく、ライフスタイルが変わるため夜勤の回数を減らさなくてはならなくなったり、スキルアップやキャリアアップがしにくくなります。
看護師は収入アップが簡単な職業
看護師は年収を上げようと思えば、いろいろな方法があります。
その中でも転職は、年収アップの効果が高い方法です。
転職には上記で挙げた5つのポイントすべてをクリアする必要はありません。
1つでも2つでも当てはまれば年収増加につながります。
こんな都合の良い職場がすぐに見つかるとは思えないと感じるかもしれませんが、転職先を探す方法もいくつもありますので諦めることはありません。
公的な機関を通しても良いですし、求人誌で探すのも良いですよね。
先に転職をした先輩や同僚から情報を得るのも方法のひとつです。
仕事をしながら探すのであれば、求人サイトを利用するのもおススメです。
どのような方法でも、自分の理想の職場を見つけることは可能ですので、年収アップを目指しているなら転職も選択肢に入れてくださいね。