薬剤師には文系から目指せるの?なるための過程と注意点を解説します

薬剤師には文系から目指せるの?なるための過程と注意点を解説します

薬剤師は、手に職をつけたいと考えている学生に人気の職業です。

薬剤師になるには、大学の薬学部を卒業したあと、国家試験に合格しなくてはなりません。

なかには文系で薬剤師を目指す人もいて、

「今は文系だけど薬剤師を目指したい」
「理数系が得意じゃないけど薬剤師になりたい」
「実験とか苦手…」

というような学生さんも多いようです。

この記事では、

  1. 文系から薬剤師になれるのか
  2. 薬剤師になるためにはどんな進路を辿る必要があるのか
  3. 自分の得意な文系で薬剤師を目指す方法とは?

これらの疑問にお答えしていきたいと思います。

受験を控える学生さんや、社会人から薬剤師を目指したい人は、ぜひ参考にして下さい。

大前提!文系から理系に転換する必要がある

薬剤師になるには薬科大学で学ぶ必要があるから

薬剤師になるためには、国家試験に合格しなくてはなりません。

その国家試験を受験するのには資格が必要で、厚生労働省の公式サイトには以下のように記されています。

「学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学において、薬学の正規の課程(学校教育法第87条第2項に規定するものに限る。)(以下「6年制薬学課程」という。)を修めて卒業した者(令和3年3月18日(木曜日)までに卒業する見込みの者を含む。)」

つまり薬剤師になるには、6年制の薬学部に通う必要があるということです。

また4年制の薬学部もありますが、受験資格は満たせません。

引用:厚生労働省(薬剤師国家試験)
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/yakuzaishi/

薬学部には理系科目が必須だから

薬学部に行くには理系科目を受験する必要があるため、化学や数学は必須科目です。

高校で文系クラスにいる場合は、早い段階で理転することをオススメします。

高校3年で文系の場合、独学でも猛勉強すれば入学できないこともありませんが、浪人は覚悟していた方がいいかもしれません。

高校2年生のタイミングなら現役合格も可能です。

また文系でも「化学がものすごく得意!」という人は、数学や物理を集中して勉強すれば、文系からでも道は開けます。

薬剤師には文系出身の人も一定数いる

文系から薬剤師を目指す人って意外と多いんです。

私立大学の場合は、10人に3人くらいの割合で文系出身者がいます。

国公立は難易度が高いため、もっと少ないかと思いますが、苦労して国家試験に合格して薬剤師になった人も少なくありません。

理数系が苦手な文系出身者が、薬学部にストレートで入るにはどうしたらいいのでしょうか?次は大学入学までの過程を解説していきます。

文系から薬剤師を目指す過程

受験に必要な科目を調べて勉強する

大学によって受験科目が異なりますので、まずは行きたい大学の受験科目を調べましょう。

3/4の大学は3科目型が多いですが、まれに2教科、4教科の大学もあります。

東京大学薬学部

センター試験:5教科7科目(110点満点)

【国語】国語(200)
【数学】数IA必須,数IIB・簿記・情報から1,計2科目(200)
【理科】物・化・生・地学から2科目(200)
【外国語】英・独・仏・中・韓から1科目(200)
【地歴・公民】世B・日B・地理Bから選択(100)/倫理・政経(100)
※地歴・公民から1科目
※理科は、基礎科目の選択不可

個別学力試験:4教科(440点満点)

【国語】国語総合・国語表現(80)
【数学】数I・数A(場合の数と確率・図形の性質・整数の性質)・数II・数B(数列・ベクトル)・数III(120)
【理科】「物基・物」・「化基・化」・「生基・生」・「地学基・地学」から2科目(120)
【外国語】コミュ英語I・II・III(独・仏・中の選択)(120)

個別配点比率:80%

東邦大学薬学部

センター試験:3教科3科目(600点満点)
【数学】数学ⅠA・ⅡBより1科目(200)
【理科】基礎2科目or専門1科目(200)
【外国語】英語(200)

個別学力試験:3科目(300点満点)

【数学】数学ⅠA・ⅡB(100)
【理科】化学(100)
【外国語】英語(100)

このようになっています。

国公立・私立のどちらに至っても、数学や化学は必須になっていますので、しっかりと受験対策をして臨む必要があります。

センターあるいは独自試験を突破する

国公立大学薬学部のセンター試験の受験科目は、5教科7科目です。

5教科の内容は、数学2科目、理科2または3科目、国語、地歴または公民、外国語になります。

薬剤師になるには、受験戦争に勝ち抜き薬学部に入ることが必須です。

文系の成績に自信があっても、理系科目を克服しなければ厳しい受験になるでしょう。

2006年に薬剤師養成過程が4年制から6年制になったのと、私立薬学部の新設が相次いでいたこともあり、私立薬学部の入試倍率は一時低下しました。

それでも現在の入試倍率は10倍を超えていることから、薬学部の人気の高さが伺えます。

薬科大あるいは薬学部で卒業を目指す

理系科目に強くないと入れない薬学部ですが、私立であれば得意科目に絞って受験することができます。

例えば、帝京平成大学の個別学力試験は化学が必須で、国語・数学・理科・英語から1科目選択する方式です。

帝京平成大学では面接試験を課していて、「どうして医学部ではなく薬学部を選択したのか?」「あなたにとってチーム医療とは何か?」などが問われます。

薬学部の受験は、文系でも間口が広くなっているので、入学するのは簡単だと言われています。

しかし「進級・卒業が非常に困難」という落とし穴があるので要注意です。

「大学受験には合格したけど卒業できない」ということにならないよう、とくに化学の勉強を怠らないように注意しましょう。

化学が好きじゃないと薬学部は厳しいという声も多いです。

受験資格を満たしたのちに国家試験を受験

国家試験の受験資格を満たしたら、いよいよ国家試験を受験することになります。

見事合格すれば、晴れて薬剤師の仲間入りです。

2020年の薬剤師の合格率は以下のようになっています。

出願者 1万5,785人
受験者数 1万4,311人
合格者数 9,958人
合格率 69.58%

また厚生労働省が発表した大学別の合格率は、1位が「金沢大学」でした。

順位 大学名 合格率
1位 金沢大学 97.50%
2位 名城大学 92.52%
3位 広島大学 91.49%
4位 九州大学 90.00%
5位 静岡県立大学 89.52%

薬剤師になるのは難しい?試験難易度や覚悟すべきポイントを徹底解説

文系から薬剤師を目指すときの注意点

どうにか理系科目を克服する必要がある

なんとか受験に合格して薬学部に入学できたとしても、そのあとは国家試験のための猛勉強の日々が待っています。

入試に化学がなかったとしても、入学してからは6年間みっちり化学の勉強をすることになるのです。

化学に対して苦手意識がある人は、入学早々に地獄をみてしまうかもしれません。

そのため、薬学部では文転する学生も多く、留年を繰り返したり、退学したりする人もいるようです。

大学入学をゴールに設定していると卒業できないこともあるので、「国家試験に合格して薬剤師になる」という目標を持ち続ける必要があります。

入学後も一度も単位が落とせない

大学にもよりますが、薬学部を留年しないで卒業でき、かつ国家試験もストレート合格できる学生は50%程度です。

多くの学生が留年してしまう理由は、「大学の定期試験が難しい」のが原因といわれています。

定期試験の準備は、遅くても1ヶ月前にスタートさせ、過去問を入手して徹底した試験対策を行いましょう。

高校生の頃のように、直前の勉強で間に合うような簡単な内容ではありません。

文系から薬剤師を目指す人は、理系出身者の倍以上の力を出し切る必要があります。

試験の範囲も非常に広くなっているので、単位を落とさないよう「留年しない意思」を持つようにして下さい。

文系大学よりも学費が高い

理系と文系では学費にも大きな開きがあります。

まず4年制でなく6年制ということから、2年分も多く学費を納めなくてはなりません。

国立大学の薬学部の6年間の学費は、およそ350万円程度。

公立大学もほぼ同じです。

一方で、私立大学薬学部の6年間の学費は、約1,144万円と言われています。

年間に200万円近い費用がかかる計算になり、多くの学生が奨学金を利用しているようです。

さらに留年をしてしまうと…と思うと、親御さんは大変です。

学費を最低限に抑えるためにも、ストレート卒業と国家試験の1発合格を死守しましょう。

参考:文部科学省(私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果について)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1399613.htm

文系から目指すなら私立or新設大学なら希望はある

比較的偏差値が落ち着いている

大学を選ばずに「入学」をゴールとするなら、私立や新設大学を狙うと合格できる可能性がアップします。

国公立は偏差値が非常に高いうえに入試科目も多いので、文系から挑戦するなら私立もしくは新設大学が狙い目です。

国公立よりも科目数が少ない

先述しましたが、私立の薬学部は受験科目も少なくハードルが低めです。

理系科目には自信がなくても文系科目で点数をカバーできれば、合格率も高くなるでしょう。

文系科目2つ+理系科目1つで受験できることも

私立の場合は、センター試験を利用する大学と、一般入試を行う2つのタイプがあります。

一般入試の受験科目においては、理科(化学)・国語・外国語などの3科目で受験できる私立大学もあるようです。

自分の得意分野で攻められる

自分の得意分野を活かして、文系の試験が多く受けられる大学を目指すと合格もスムーズになるでしょう。

しかし、薬剤師になるには「国家試験に合格すること」が最終目標です。

入学しても国家試験に合格できなければ、薬剤師になることはできません。そのことを忘れずに、自分が本当に薬剤師を目指すべきなのか、よく考える必要があります。

国家試験合格率のばらつきはある

薬剤師の国家試験の合格率については、その年によってばらつきがあります。

過去5年の合格者数は以下の通りです。

受験者数 合格者数 合格率
2016年 14,949人 11,488人 76.85%
2017年 13,243人 9,479人 71.58%
2018年 13,579人 9,584人 70.58%
2019年 14,376人 10,194人 70.91%
2020年 14,311 人 9,958人 69.58%

前年と比較すると受験者数は60人ほどしか変わりませんが、2020年の合格率は7割を割っており、合格者は前年よりも236人減少しています。

大手への就職に響くこともある

無事に国家試験に合格したら、次は就職が待っています。

薬剤師の多くは、病院や薬局などが就職先として挙げられますが、製薬会社で研究職を選択する人も少なくありません。

また化粧品会社や食品関連の会社で、商品開発に携わることも可能です。

就職してしまえば、出身大学のレベルはほとんど関係ないと言われていますが、新設私立から大手への就職はむずかしいケースもあります。

私立出身者は薬局や病院、製薬会社のMRに就職する人が多く、国立出身者は製薬会社の開発や研究職に進む人が多いようです。

注意!文系の社会人から薬剤師を目指すのは厳しい

文系の社会人から理系の薬剤師になるのは可能なのでしょうか?

事前に把握するべき注意点を解説します。

6年間の収入源が無くなる

まず考えることは学費と、6年間の生活費です。

これまでの貯蓄があったとしても、私立の大学へ行く場合は、1,000万円くらいの支出は予定しておく必要があります。

授業についていくことも簡単ではありませんから、アルバイトをする時間も捻出できないかもしれません。

一人暮らしの人は家賃や光熱費も必要になりますから、生活がキツくなって途中で挫折してしまう可能性もあります。

仕事と両立できない

20代中ば〜後半であれば若手の部類です。

しかし現役の高校生と比べると、記憶力も確実に劣っていることでしょう。

さらに受験勉強のテクニックは忘れてしまっているので、受験科目に英語や国語の得意科目があったとしても油断禁物です。

他の学生との年齢のギャップが気になるかも

大学には30代や40代の学生もいますが、大半は現役入学した学生です。

年齢を重ねてくると1、2歳の差はまったく感じなくなりますが、10代、20代前半の年齢ギャップは気になるかもしれません。

文系からでも工夫して薬剤師を目指してみよう

文系からでも薬剤師を目指すことができる、ということが分かったと思います。

しかし1日でも早く理系科目の勉強に力を入れて、受験勉強に励むことが大切です。

薬剤師は「一生使える資格」として、食いっぱぐれのない生活が送れます。

  • 将来は安定した生活が送りたい
  • 医療を通じて多くの人に健康を届けたい

そんな人にはぜひ、理転して薬剤師への第一歩を踏みだして欲しいと思います。

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