就職・転職活動の際、「既卒」や、「第二新卒」という言葉を耳にすることが増えました。
既に定着しつつあるこれらの言葉ですが、みなさんはこの2つの違い、知っていますか?
意外と違いがわからない人が多いかもしれません。
また、求職活動中で自分はどちらに分類されるのかわからない、なんて人もいるかもしれませんね。
そこで「既卒」と「第二新卒」の違いや、就職・転職活動におけるそれぞれの状況について詳しく解説していきます。
これから活動を始めようと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
既卒(未就業)の定義とは?
そもそも「既卒」や「第二新卒」という言葉には明確な定義はありません。
単に採用市場の中で区分するために使われるようになった言葉です。そのため転職市場や転職エージェントなどによって、それぞれの定義は微妙に異なります。
しかし、そこまで大きな違いはないので、共通定義として私たちにも定着してきています。
「既卒」とは、専門学校や大学などを卒業したあと、正社員として勤務した経験のない人のことを指します。
研究に専念する、留学をする、という理由で就職という選択肢を選ばなかった人たちが当てはまります。
また、卒業後にフリーターとして働いている人も既卒に含まれます。この場合は既卒でありフリーターでもある、といえます。
既卒かどうかのポイントは、「正社員として就業経験があるかどうか」になります。
一度就職した人が、退職してアルバイトやパートとして働いている場合はフリーターではありますが、既卒ではありません。
大学卒業後の就業経験がない、ということが「既卒」の定義の軸といえます。
第二新卒の定義とは?
それでは次に「第二新卒」の定義ですが、「既卒」との一番の違いは就業経験があるということです。
第二新卒とは一般的に学校を卒業後に就職するも、3年以内(もしくは未満)で離職、または転職活動を行う人のことを指します。
既卒が卒業後に就業経験がない人であることに対して、第二新卒は長い期間ではないものの社会人経験のある人たちということになります。
また、全く社会人経験のない新卒と、中途採用者の中間にあたるのが「第二新卒」で、卒業後3年程度、つまり年齢的には25歳前後の人が第二新卒の対象です。
最近では、この第二新卒の数は増加傾向にあり、仕事や人間関係の不一致などの理由から転職活動を始める人が多いようです。
新卒の離職率はどれくらい?
「新卒のうち、3人に一人が3年以内に退職する」ということがよく言われていますが、実際に新卒で3年以内にどのくらいの人が退職し、第二新卒となっているのでしょうか?
厚生労働省の調査の結果によると、大卒で3年以内の離職率は32.2%というデータがでており、そのうち1年以内の離職率は12.3%となっています。
つまり、離職者のうち3年といわず1年以内で離職する人が4割を占めていることになります。
ちなみにさらに産業別で見ると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は50.2%と最も高く、2人に1人が3年以内に離職していることがわかります。
この3年以内に離職・転職を行う人が「第二新卒」の定義にあてはまります。
第二新卒が不利になる時代は終わった?
一度入社した会社で、生涯働き続けることが当たり前だった少し前の時代からすると、「入社した会社を3年足らずで辞めるのは良くないこと」と、マイナスに考える人は少なくありません。
しかし、これまでのこのような考え方が最近は変化してきています。
ここ数年、企業の人手不足が加速していることで求人数が増加し、求職者は企業をじっくり比較・選択することができるようになりました。
このように売り手市場である今、企業側は欲しい人材や優秀な人材を思うように確保できない状態になってきています。
そのため最近は、大手企業も第二新卒の積極的採用を取り入れるようになってきました。
これまでの第二新卒の採用は、大手企業に押されて思うように若手の人材を獲得できない中小企業に多いイメージでしたが、今では大手企業も若手人材の確保することが難しくなってきているといえます。
少し前ならマイナスイメージをもっている企業が多く、第二新卒が応募できる求人が少ないのが当たり前でしたが、今では「第二新卒歓迎」という求人を至るところで目にします。
企業側としては、第二新卒に対して「またすぐに辞めるかもしれない」という懸念はあるものの、それを考慮しても若手の人材を確保したい、という思いがあるのでしょう。
また、第二新卒にメリットを感じている企業も多く、これからの将来性や人柄を重視して採用することが多いようです。
このように、今の転職市場は第二新卒にとって、かなり有利な状況になってきているといえます。もし、転職を迷っているのなら、今ほど挑戦しやすいタイミングはないでしょう。
既卒と第二新卒は、転職難易度が大きく異なる?
「既卒」と「第二新卒」では、第二新卒のほうがどちらかというと転職成功率が高いといえます。
先に説明したとおり、大手企業が若手人材を確保するために第二新卒の積極的な採用を始めたことで、第二新卒が受けられる求人数は年々増えています。
また第二新卒の場合、既卒とちがい社会人経験があるため、教育次第では短期間で即戦力に成長してくれることや、基本的な社会人としての知識やマナーが身についていると考えるため、企業としては教育コストが低く抑えられるというメリットがあります。
しかし、既卒だから絶対に就職できないというわけではありません。
新卒や第二新卒に比べると、就職先やそもそも求人自体がなかなか見つからないのでは?と不安に思う人もいるかもしれませんが、安心してください。最近では、既卒者歓迎の求人を目にすることも増えてきています。
また、大切なのはそれぞれの経歴に合った就職・転職活動を行うことです。間違った方法や、非効率な方法で活動をしていれば、なかなか就職がうまくいかないのは当然ですよね。
既卒の就職は、求人数からいえば第二新卒よりも転職難易度が高いといえるかもしれませんが、不可能なわけでは決してありません。
難易度や就業経験がない、といったことは気にせず、どんどん行動することが就職活動を成功させる鍵です。
既卒(未就業)が正社員になるには?
では、既卒の場合どうすれば正社員の内定を勝ち取ることができるのでしょうか。
そもそも、就職したくても応募できる求人が見つけられなければ始まりません。
まずは既卒でも応募できる求人を見つける必要があります。
既卒が就職を成功させるためのポイントはこの3つです。
- 就職エージェントを利用する
- 行動量を増やす
- マイナスイメージを払拭する
それぞれについて、細かく見ていきましょう。
①就職エージェントを利用する
もはや利用しない理由がない、といってもいいくらい、就職エージェントを利用するメリットはたくさんあります。
最近では、利用者の対象を既卒やフリーターとする就職エージェントもあり、「紹介できる求人がない」と断られる心配もありません。
1人で求人情報を見つけ出すのには限界がありますが、就職エージェントを利用すればたくさんの求人を紹介してもらえるだけでなく、優良企業と出会える可能性が高くなります。
個人では知ることのできない情報をエージェントは持っているので、社内の雰囲気や男女比などの情報収集も可能になります。
また、就業経験がないと、何からはじめていいかわからない、と迷路に迷い込んでしまうこともあるかもしれませんが、就職エージェントを利用していれば安心です。履歴書の書き方や面接対策、適職診断など、就職をするうえで必要なことをサポートしてもらえます。
就職活動をする中で迷ったときや、困ったときも、エージェントに相談することができるので個人で活動するよりも安心です。
正社員で働きたいと考えている人は、ぜひ就職エージェントを利用することをおすすめします。
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②行動量を増やす
就職エージェントを利用するだけでなく、他の求人サイトやハローワークを利用して、どんどん求人を探すようにしましょう。
待っていても求人はやってこないので、自分からどんどん行動することが大切です。
いろんな求人を見る中で、自分がどんな企業や業界に興味があるのかも、具体的になってきます。
ただし、ハローワークの求人は玉石混交なので、ブラック企業に入社することになる前に、求人をしっかり見極めてから応募しましょう。
また、ほかにもセミナーや企業説明会があれば参加してみるのもおすすめです。
たくさんの企業や求人を見て、自分なりの考えをもって応募する、そして面接を受けることでしか、結果は得られません。
③マイナスイメージを払拭する
既卒者に対する企業側のイメージとしては、「企業の色に染まっていないので教育しやすい」というポジティブな面がある一方で、ここ数年新卒にとっては売り手市場だったにも関わらず就職しなかったのはこだわりが強すぎるのではないか、または内定がもらえなかったのなら問題があるのでは?というネガティブなイメージもあります。
そのため、既卒の面接では「なぜ新卒で就職なかったのか?」という質問をされる確率がかなり高いです。
就職しなかった理由は人によって様々だと思いますが、内定を獲得するためには面接官や企業が既卒に対して抱くマイナスイメージを払拭する必要があります。
就職しなかった理由をしっかり自分の中で整理しておきましょう。
「どんな仕事に就きたいかよくわからないまま卒業してしまった」という人は、まずは自己分析からはじめて、自分と向き合ってみると良いですよ。
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まとめ
既卒と第二新卒では、就業経験があるかどうかが大きな違いになっています。
それぞれの経歴によって、強みやアピールポイントはちがってくるので、自分に合ったエージェントを利用するなどして、効率よく活動を進めましょう。
既卒や第二新卒だから、と経歴を気にする必要はありません。正社員として就職できる可能性はまだまだ充分あるので、諦めずに行動してみましょう。