ぶっちゃけ転職エージェントを使うと採用で不利になるのか、人事のプロに訊いてみた

転職エージェントのイメージ

最近テレビCMや、各メディアでの広告も増えてきたことで、転職エージェントを活用して転職活動を進める人は増えています。

しかし転職エージェント経由で人材を採用した場合、企業はエージェントへ紹介料を支払わなければなりません。

企業側からすると、エージェント経由ではなく、直接応募してきた人材を採用した方が、コストは安く抑えることができます。

となれば、転職エージェントを利用すると、採用で不利になるのでは…。

ということで、今回は転職エージェントを利用すると、採用で不利になってしまうのか、上場企業での採用経験もある人事のプロに訊いてみました!

今後転職を考えている方、ぜひ参考にしてください!

Q、まずは簡単に人事としての経歴を教えてください!

東証一部上場企業の人事、非上場の大企業の人事、ベンチャー企業人事、中堅企業人事を歴任してきました。
現在は中堅企業で人事のお仕事させて頂いております。
基本的に重機(トラックなどのいわゆる働く車)や自動車などの車両関係の会社で人事担当者の経験が長いです。
現在も日本の基幹産業に携わっています。
採用だけでなく、人事企画から給与計算までを幅広く手がけてきました。
人事はバックオフィスなので、採用面接以外で外部に顔を出すことはありません。
目立たない存在ですが、よろしくお願いいたします。

Q、エージェント経由と直接応募はどれくらいの割合?

上場企業・大企業の場合だと、転職エージェント経由は全体の60%、残り40%が求人掲載型の転職サイトですね。
転職エージェントはお金がかかる分、希望の人材条件にマッチした人を紹介してくれるのでありがたいです。
大企業の場合、ある程度採用への予算があること、転職サイトだけだと応募が殺到してしまい、選考に十分な時間を取れないということから、エージェントを重宝することが多いです。
何百件も応募があると、書類選考だけで時間がかかってしまいます。
そのため転職エージェントには、応募の段階である程度ふるいにかけて欲しいとお願いしています。

一方、中小企業とベンチャー企業の場合、エージェント経由は20%で、あと80%は転職サイトです。
中小企業やベンチャー企業の場合、何千人もの書類選考をしなければならないという事態はまずあり得ません。
来てくれた人を丁寧に見るというスタンスで採用します。
時間が確保できる分、転職サイト経由から一人一人書類に目を通す余裕があります。
また採用への予算もないので、比較的費用を抑えられる転職サイトを使うことが多いです。

Q、転職エージェント経由と直接応募ではどれくらい経費に差が出る?

転職エージェントに対しては、一律年収の30%を採用が成功した際にお支払いさせて頂いています。
但し報酬金額は一律ではなく、紹介料が安いエージェント様もいます。
たとえば年収500万円の人材を採用した場合、報酬金額は大体このようになります。

大手のエージェントであれば大体30%で固定されています。リクルートエージェント、DODA、JACリクルートメントなどは150万円です。
ブラッシュアップジャパン(いい就職ドットコム)は、年収に関わらず35万円から65万円の範囲で統一されています。

また、転職サイトを経由した場合ですが、基本的に求人掲載ページの大きさで料金に差はありますが、平均すると18万円から40万円くらい、一か月求人を掲載するとかかります。
一番安いプランで転職サイトを利用すると18万円からでも掲載できますが、目立たないため全く応募はないですね。必然的に少し高いプランを活用することになります。
一番小さい広告枠で比較すると、リクナビネクスト18万円、マイナビ転職20万円、エン・ジャパン28万円、DODA25万円ほどです。
これを考慮すると転職エージェントが平均で大手のエージェントを利用すると150万円、独自性のある転職エージェントを使う場合には50万円、転職サイトで直接応募を募る場合には平均すると最低22万7500百円程度かかります。

もしも一番小さい求人広告で採用出来れば、転職サイトと転職エージェント経由では約70万円ほど差が付きます。

しかし転職サイトに一番小さい求人広告を出して、こちらが求める人材がいきなり来てくれることは稀です。
転職サイトで採用出来ずに、何回も何回も求人広告を出すことになり、結局転職エージェント1回で終わらせてしまった方が安くついたかも知れないという経験は何度もしています。
この辺にいつも頭を悩ませながら求人活動を行っています。

Q、エージェントによって採用されやすさには差が出る?

エージェント経由で面接の選考基準が厳しくなるということはありません。
そもそもエージェント経由にする職種はある程度お金がかかるのを覚悟して掲載しているので、紹介料だけで選考基準が厳しくするというのであれば、最初から転職エージェントに求人掲載依頼をすることはありません。

Q、エージェント経由で有利になるケースはある?

特に有利不利はありません。

面接に来てくださった方が会社にマッチする人材であれば転職エージェント経由でも転職サイトでも採用基準が変わることはあり得ません。

経由している媒体で唯一、不利になるのはハローワーク経由だけです。
年配で人事をやっている方は、ハローワーク経由の人材はあまり好きではないです。
面接に来たと思ったら、失業保険を貰う為の求職実績のためだったりと、一昔前は本当に人材の質が悪かったですね。

二次面接と最終面接を行うのは、人事でも年配者の部長クラス以上となるので、この辺はかなり心理的に悪影響があります。

また人事で役職を持っている人の中には、エージェント経由=優秀な人材と思い込んでいる人が多いです。

実際は現場でかなりエージェントに要望を出しているから、優秀な人材が集まってくるのですが、人事部長クラスの人たちはそのあたりを理解しておらず、エージェント経由は優秀だと思い込んでいます。

実務担当者からすると、エージェント経由でも転職サイト経由でも、あまり差はありません。
転職サイトでもどちらでもいい人が来たら採用したい!と考えているので、ハローワーク以外は大きな不利は発生しません。

Q、エージェントとはぶっちゃけどこまで意見交換をしているの?

出身は早慶上智・MARCH(明治青山立教中央法政)クラスまでといった学歴の部分。

また年齢要件と職歴要件は必ず伝えています。

ただ中小企業で中途採用の場合、学歴にはそこまで注文を出さないこともあります。

また選考中でも電話やメールで頻繁に意見交換を行っています。

この人は本当にうちに来てくれるのか?という確認等を含め、選考中から転職エージェントとは密に連絡を取っています。
転職エージェント経由の場合には窓口が転職エージェントになるので、本人に確認するよりも転職エージェントに聞くようにしています。

Q、どんなエージェントは優秀だと思いますか?

人事から見ると、人が欲しい時、すぐに面接まで持っていってくれるのが優秀なエージェントです。

せっかく転職エージェントにお願いしているのですから、転職サイトやハローワークよりも早く面接に人が来ないことには話になりません。

本当はじっくりと採用活動をしたいのですが、欠員補充の場合にはなかなか時間の余裕がありません。
他の求人媒体ではなく転職エージェントに頼るということは、早期に内定を出したいという意味もあります。
人事から厳しい言葉を転職エージェントに対して言ってしまう場合もあります。
なぜ早く紹介してくれないのかと。連れてこないならもう取引しませんという風にプレッシャーをかけることも多いです。
結局お金よりも時間の方が大事なので、最初にいい人を紹介してくれた転職エージェントさんから採用することが多いですね。
人事にとっての良い転職エージェント=早く人を紹介してくれる転職エージェントです。

転職者側から見ると?

人事側とは相反しますが、出来るだけ無理に転職を進めない人が、転職希望者にとっていい転職エージェントです。

場合によっては長い目で見てもう1年頑張ってから再度転職活動してみませんか?と、本当に転職希望者の立場に立ってくれるようなエージェントです。
希望の職種と全く違う異業種に無理矢理転職させようとする転職エージェントも、リーマンショック時にはたくさんいらっしゃいました。
転職は一生のことなので、早く決断を迫るような転職エージェントや、親身になって話を聞いてくれない転職エージェントは避けるのが良いと思います。
親身になってしっかりとマッチするであろう企業を紹介してくれる転職エージェントを選ぶようにして下さい。

Q、あなたが転職するなら転職エージェントは利用しますか?

転職エージェントを利用することはしますが、転職サイトと両方使います。
転職エージェントと転職サイトを組み合わせて一番いい求人に応募するのがベストだと考えています。
転職サイトにも「あの大企業が正社員を募集しているんだな。ちょっとびっくりしたなー。待遇も良いし、条件も良いな。新しい拠点を立ち上げたから部門人事を強化したいんだなー。受けてみようかな」というようなことはたくさんあります。

私の場合、転職サイト5社と転職エージェントは3社に登録しました。

転職エージェントを使うときには、実態を良く知っているのでとにかく選択肢を増やすように心がけていました。
出来るだけたくさんの選択肢を持って情報を取って決断した方が、冷静になって転職活動を出来ると考えています。

Q、どんな人にエージェントをおすすめか教えてください

職歴を確実に積んできている年齢の若い人や、管理職経験者におすすめです。あとは一部の特殊な技術職の方も転職エージェントを活用するのがおススメです。

特にITの技術系人材や設計開発などは転職エージェントを経由して転職活動を行うのが良いと思います。

技術系の求人は、転職サイトなどにはない非公開求人が転職エージェント宛に沢山出ているからです。

近年、非正規雇用のエンジニアが増えてきており、非公開求人にしておかないと、非正規雇用の従業員の方たちが求人に殺到してきて対処に困ってしまいます。

転職エージェントはどうしてもお金になる年収の高い管理職か内定の決まりやすい若者や技術系の転職希望者にばかり時間を割く傾向にあるので、転職エージェントは条件が当てはまれば一瞬で内定が出ることも多々あります。
ベストな選択肢を選んでみて下さいね!